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薬剤耐性菌:刑務所は適応度が代償された多剤耐性結核菌の生態学的ドライバーである

Nature Medicine 27, 7 doi: 10.1038/s41591-021-01358-x

多剤耐性結核(MDR-TB)は、抗菌剤耐性による年間死亡者の3分の1の原因である。細菌で薬剤耐性を付与する変異は、適応度コストを引き起こすことが多い。実験研究から、このような薬剤耐性に関連する適応度コストは、代償性変異によって軽減される可能性が示されている。しかし、代償性進化の臨床との関連はほとんど解明されていない。本論文では、ジョージア(国名)では、6年間にわたる全国的な調査の間のMDR-TBの63%が患者から患者への伝播によるものであったことを示す。代償性変異と患者の収監は、それぞれ独立に伝播と関連していた。さらに、代償性変異は収監者由来の分離株で大きな比率を占めており、非収監者集団にも広がることが多かった。その結果、ジョージアでのMDR-TBの最大31%が、直接的あるいは間接的に刑務所に結び付けられた。刑務所は、適応度が代償され高い伝播能力を持つ株の生態学的ドライバーとして働くことで、ジョージアでのMDR-TBの流行を促進していると、我々は考えている。

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