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黒色腫:黒色腫レスポンダーでの免疫療法に対する遅発型抵抗性の進化

Nature Medicine 27, 6 doi: 10.1038/s41591-021-01331-8

ほとんどの黒色腫患者は、免疫チェックポイント遮断(ICB)に対して、当初は応答を示すにもかかわらず、次第に抵抗性が見られるようになる。我々は抵抗性のこのような進化を解明するために、ICBに対する完全臨床奏効を示した後に、遅発型抵抗性が生じて死亡に至った1人の転移性黒色腫患者から9年間にわたって採取した37の腫瘍検体について調べた。系統解析では、7系統の共進化が明らかになり、これらは複数に収斂したが、抵抗性に関連した変化を独立に獲得していた。再発性腫瘍は、全てが染色体15qの喪失を特徴とする系統から出現し、追加のゲノムドライバー事象を獲得した治療後のクローンを有していた。バルクRNA塩基配列解読と高感度マルチプレックス免疫蛍光染色(t-CyCIF)のデコンボリューションによって、異なる系統間での免疫組成の差異が示された。イメージングからは、免疫細胞に近接してPD-L1を高発現するNGFRhi腫瘍細胞での血管擬態表現型が明らかになった。迅速剖検によって、NGFRの2つの異なる空間パターン、すなわち皮下腫瘍で見られる高い極性を持ち、免疫細胞に近接しているパターンと、肺腫瘍で見られる分散した空間パターンが明らかになり、この神経堤様プログラムは、さまざまな腫瘍微小環境で異なる役割を持つことが示唆された。まとめると、この研究は、ICBに対する抵抗性の進化動態の高分解能マップを確立し、黒色腫の免疫療法抵抗性における脱分化した神経堤腫瘍集団の特性を明らかにし、まれな臨床経過をたどった1人の黒色腫患者に対する経時的解析によって、腫瘍と免疫の相互作用に見られる部位特異的差異を示している。

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