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がん治療:乳がん患者の抗PD-1治療時に見られる腫瘍内変化の単一細胞マップ

Nature Medicine 27, 5 doi: 10.1038/s41591-021-01323-8

乳がんでの免疫チェックポイント阻害(ICB)とネオアジュバント化学療法との併用は、病理学的完全奏功を改善する。ICBに応答するのは腫瘍の一部だけであることの理由を明らかにするために、ホルモン受容体ポジティブあるいはトリプルネガティブ乳がんの患者に対して手術前に抗PD-1が投与された。未治療で抗PD-1治療を受けた患者(n = 29)、もしくは抗PD-1治療の前にネオアジュバンド化学療法を受けた患者(n = 11)由来の治療前と治療中のものを対にした生検検体で、単一細胞トランスクリプトームが調べられ、T細胞受容体およびプロテアソームのプロファイリングが行われた。腫瘍の3分の1はPD1を発現するT細胞を含んでおり、この細胞は腫瘍のサブタイプとは関係なしに、抗PD-1治療の際にクローン増殖した。増殖には主に、細胞傷害活性マーカー(PRF1GZMB)、免疫細胞のホーミングマーカー(CXCL13)や疲弊マーカー(HAVCR2LAG3)を顕著に発現しているCD8+ T細胞と、1型ヘルパーT細胞マーカー(IFNG)や濾胞ヘルパーT細胞マーカー(BCL6CXCR5)の発現が特徴的なCD4+ T細胞が関わっていた。治療前生検検体では、免疫制御性樹状細胞(PD-L1+)、特異的なマクロファージ表現型(CCR2+もしくはMMP9+)、それに主要組織適合性複合体クラスI/IIの発現が見られるがん細胞の相対的出現頻度が、T細胞増殖と正に相関していた。逆に、未分化なプレエフェクター/記憶T細胞(TCF7+GZMK+)あるいは抑制性マクロファージ(CX3CR1+C3+)はT細胞増殖と逆相関していた。まとめると、我々のデータによって、抗PD-1治療後のT細胞増殖と正または負に相関する多様な免疫表現型や関連遺伝子セットが明らかになり、乳がんでの抗PD-1に対する治療応答の不均一性が示された。

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