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エボラ出血熱:コンゴ民主共和国北キブ州でのエボラウイルス病アウトブレイクへの対応へのゲノム塩基配列解読の組み込み

Nature Medicine 27, 4 doi: 10.1038/s41591-021-01302-z

2018年8月1日、コンゴ民主共和国(DRC)は、10回目のエボラウイルス病(EVD)のアウトブレイク(集団発生)を宣言した。疫学的対応を支援するために、コンゴ国立生物医学研究所(INRB)は、塩基配列解読やバイオインフォマティクス解析、また最前線の公衆衛生従事者へのゲノム疫学結果の周知徹底を含むエンドツーエンドのゲノムサーベイランスシステムを実施した。今回我々は、2018年7月27日から2020年4月27日までにサンプリングされ、このサーベイランスシステムの努力によって得られた744の新規ゲノムについて報告する。これらのデータは、以前から利用可能だった塩基配列データ(n = 48ゲノム)と合わせると、解析期間中にDRCで検査により確認された全エボラウイルス(EBOV)感染のほぼ24%に相当する。新たな塩基配列が得られたことで、我々はゲノムデータから時空間的伝播の動態を推定し、その結果を関係者に広く知らせて疫学的対応の努力を支援した。本研究では、このゲノムサーベイランスシステムがどのように機能したのかを概観するとともに、北キブ州でのアウトブレイクから得られた792のエボラゲノムについて最大限の解析対象集団の系統動態解析を示し、ゲノムサーベイランスデータが、対応の取り組みや公衆衛生上の意思決定にどのように情報をもたらしたかについて論じる。

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