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アトピー:アトピー性皮膚炎の細菌治療のためのヒト皮膚常在微生物の開発と第1相無作為化臨床試験での使用

Nature Medicine 27, 4 doi: 10.1038/s41591-021-01256-2

黄色ブドウ球菌はアトピー性皮膚炎(AD)患者の皮膚に定着し、炎症を促進させることで病状を悪化させる。本研究では、健常者の皮膚から単離した常在細菌であるStaphylococcus hominis A9株(ShA9)をADの局所治療に用いた際の安全性と作用機序について調べた。ShA9はマウスの皮膚で黄色ブドウ球菌の定着数を減少させ、黄色ブドウ球菌由来の炎症促進毒素であるpsmαの発現を抑制した。ShA9あるいは対照(溶媒)を黄色ブドウ球菌陽性ADの成人54人の前腕に移植するfirst-in-human第1相二重盲検無作為化1週間試験(NCT03151148)は、主要評価項目を満たし、ShA9を移植された被験者は、ADに関連する有害事象をほとんど示さなかった。湿疹の重症度はShA9で治療された全ての患者で評価した場合、対照グループと有意な違いがなかったが、黄色ブドウ球菌の有意な減少およびShA9 DNAの増加が認められ、副次評価項目を満たした。ShA9は全ての被験者の黄色ブドウ球菌株を直接排除することができなかったが、全ての株でpsmαのmRNA発現を阻害した。事後解析の結果、ShA9の抗菌活性に感受性を示す黄色ブドウ球菌を有する患者では局所湿疹の重症度の改善が見られた。これらの観察は、ADに対する細菌療法が安全かつ有益である可能性を示している。

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