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早老症:ハッチンソン・ギルフォード早老症候群に対する標的化アンチセンス治療法

Nature Medicine 27, 3 doi: 10.1038/s41591-021-01274-0

ハッチンソン・ギルフォード早老症候群(HGPS)は、老化が加速されるまれな疾患であり、心筋梗塞や脳卒中による早期の死亡が特徴である。HGPSはLMNA遺伝子のde novoな一塩基変異が原因で、この変異は隠れたスプライシングドナー部位を有効にし、その結果としてラミンAの毒性型であるプロジェリンが産生される。今回我々は、ペプチドを連結したアンチセンスホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー(PPMO)を用いて、変異転写産物の病原性のスプライシングを阻害するという遺伝子治療戦略候補を示す。いくつかの候補のうち、PPMO SRP-2001が、患者の繊維芽細胞でプロジェリン転写産物を最も大幅に減少させた。HGPSのトランスジェニックマウスモデルにSRP-2001を静脈内送達すると、HGPSで特に重要な標的組織とされる大動脈で、プロジェリン転写産物の著しい低下が見られた。SRP-2001の長期にわたる継続投与は、寿命を61.6%延長させ、大動脈の血管平滑筋細胞の喪失を防いだ。以上の結果は、この治療法をヒトでの治験に進めるための論理的根拠となる。

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