Letter

COVID-19:南アフリカで見つかったSARS-CoV-2の新しい16系統

Nature Medicine 27, 3 doi: 10.1038/s41591-021-01255-3

南アフリカでの最初の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染は、2020年3月5日に見つかり、この国は同月26日までにフル・ロックダウンに入った(オックスフォード厳格度指数は90)。当初の対応にもかかわらず、南アフリカでは2020年11月までに78万5000人以上が感染し、この数はアフリカで明らかになっている感染者数の約50%を占めている。我々は今回、ほぼ全ゲノムレベルで1365のゲノム解析を行い、2020年3月6日〜8月26日に16の新しいSARS-CoV-2系統を分離したことを報告する。これらの系統のほとんどは、他の場所では見つかっていない固有の変異を持っていた。また我々は、3つの系統(B.1.1.54、B.1.1.56、C.1)が、流行第一波の間に南アフリカに広く拡散し、その時点で南アフリカの全感染のほぼ42%を占めていたことも示す。今回新たに見つかったSARS-CoV-2 C系統のC.1には、原型とされている武漢のSARS-CoV-2の塩基配列と比較して16か所のヌクレオチド変異があり、これらの変異の中にはスパイクタンパク質中の1つのアミノ酸変化(D614G)が含まれていた。このC系統は2020年8月下旬までに南アフリカで地理的に最も広まった系統である。2020年4月に見つかった初期の南アフリカ固有系統であるB.1.106は、クワズール・ナタール州での院内集団感染が制圧された後に消滅した。我々の知見は、アフリカでゲノム監視を大規模に実行して新たな系統を特定し、SARS-CoV-2の拡散を制御するための対策情報を提供できることを示している。本研究で示したようなゲノム監視が極めて重要であることは、2020年12月に南アフリカで501Y.V2変異株が特定された際にも明らかになっている。

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