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がん治療:手術可能な非小細胞肺がんでのニボルマブ単剤もしくはニボルマブ+イピリムマブ併用ネオアジュバント療法:第II相無作為化NEOSTAR試験

Nature Medicine 27, 3 doi: 10.1038/s41591-020-01224-2

転移性非小細胞肺がん(NSCLC)において、イピリムマブは、ニボルマブと併用した場合に臨床転帰を改善するが、手術可能なNSCLCにおける有効性と免疫微小環境に対する影響については不明である。今回我々は、ニボルマブ単剤またはニボルマブ+イピリムマブ併用ネオアジュバント療法の後に手術が行われた44人の手術可能なNSCLC患者での第II相無作為化NEOSTAR試験の結果を報告する(NCT03158129)。この試験では、主要評価項目として病理学的著効(MPR;major pathologic response)が用いられた。各治療群のMPR率は、ネオアジュバント化学療法の過去の対照群に対して調べられた。ニボルマブ+イピリムマブ併用群では、21人の患者で、事前設定した主要評価項目の閾値である6 MPRが満たされ、38%のMPR率(8/21)が達成された。ニボルマブ単剤群では、22%のMPR率(5/23)が認められた。この試験で切除術の行われた37人の患者で、ニボルマブ単剤は24%(5/21)、ニボルマブ+イピリムマブ併用は50%(8/16)のMPR率を示した。ニボルマブ単剤に比べると、ニボルマブ+イピリムマブ併用では、病理学的完全奏効率がより高く(10%に対して38%)、残存腫瘍が少なく(中央値50%に対して9%)、エフェクターT細胞、組織常在性記憶T細胞、エフェクター記憶T細胞の割合が高いという結果が得られた。また、腸内のRuminococcus属菌とAkkermansia属菌の存在量が増えたことは、併用療法に対するMPRと関連していた。我々のデータは、ニボルマブ+イピリムマブ併用をベースとするネオアジュバント療法は、病理学的奏効、腫瘍への免疫細胞の浸潤、免疫記憶を増強し、手術可能なNSCLCでさらに研究を行う価値があることを示している。

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