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免疫:個別化ネオ抗原ワクチンは黒色腫患者で持続性のある記憶T細胞応答とエピトープ拡大を誘導する

Nature Medicine 27, 3 doi: 10.1038/s41591-020-01206-4

個別化ネオ抗原ワクチンは、抗腫瘍T細胞応答を誘導、増幅、多様化させるための効果的な手法であると考えられてきた。そのようなワクチンの長期的効果を明らかにするために、我々は、外科的切除を受けたステージIIIB/CあるいはIVM1a/bの黒色腫患者8人で、NeoVaxでの治療後中央値であるほぼ4年目に臨床転帰や循環中免疫応答を評価した(NCT01970358)。NeoVaxは長鎖ペプチドワクチンで、患者1人当たり最大で20個までの個別化ネオ抗原を標的とする。調べた時点では、全ての患者が生存していて、6人では活動性疾患の証拠は見られなかった。ワクチン接種後にネオ抗原特異的なT細胞応答が長期に持続することが観察され、記憶T細胞の表現型を示すネオ抗原特異的T細胞がex vivoで検出された。また、ネオ抗原特異的T細胞クローンは時間経過とともに多様化して、異なる機能的アビディティーを示す多数のT細胞受容体クロノタイプが出現した。さらに、ワクチン接種とエピトープ拡大の後にはネオ抗原特異的T細胞クローンによる腫瘍浸潤が見られ、このことは、ワクチンによって腫瘍細胞の殺傷が的確に誘導されたことを示唆している。従って、個別化ネオ抗原ペプチドワクチンは、黒色腫患者で数年にわたって持続するT細胞応答を誘導し、腫瘍特異的な細胞傷害性の範囲を広げる。

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