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がん治療:ホルモン受容体ポジティブHER2ネガティブの進行性乳がんでのダルピシクリブもしくはプラセボとフルベストラントの併用:無作為化第3相試験

Nature Medicine 27, 11 doi: 10.1038/s41591-021-01562-9

サイクリン依存性キナーゼ4および6経路の遮断は、ホルモン受容体ポジティブの進行性乳がん(ABC)の治療での有効性が示されている。今回我々は、内分泌療法後に疾患の進行を見たホルモン受容体ポジティブHER2ネガティブABCで行った、ダルピシクリブ(dalpiciclib;サイクリン依存性キナーゼ4/6の新規阻害剤)とフルベストラントの併用についての二重盲検無作為化第3相試験であるDAWNA-1(NCT03927456)の中間結果を報告する。合計で361人の患者は2:1に無作為的に分割され、それぞれダルピシクリブとフルベストラントの併用投与群とプラセボとフルベストラントの併用投与群とされた。この研究は主要評価項目を満たし、ダルピシクリブとフルベストラント併用投与群では、プラセボとフルベストラント併用投与群と比べた場合、主治医判定による無増悪生存期間の有意な延長が見られた[中央値 = 15.7、95%信頼区間(CI)= 11.1(未到達)対7.2、95%CI = 5.6~9.2か月。ハザード比 = 0.42、95%CI = 0.31~0.58。片側P < 0.0001(境界はP ≤ 0.008)]。ダルピシクリブとフルベストラント併用投与群で最もよく見られたグレード3と4の有害事象は、好中球減少症(84.2%)と白血球減少症(62.1%)だった。重篤な有害事象の発生率は、ダルピシクリブとフルベストラント併用投与群で5.8%だったのに対して、プラセボとフルベストラント併用投与群では6.7%だった。我々の知見は、ダルピシクリブとフルベストラント併用が、治療歴のあるホルモン受容体ポジティブHER2ネガティブABCに対する新しい治療選択肢となることを裏付けている。

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