Letter

COVID-19:既存および誘導性のSARS-CoV-2特異的CD8+ T細胞の特徴

Nature Medicine 27, 1 doi: 10.1038/s41591-020-01143-2

多様なウイルスタンパク質を標的とする重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)特異的CD8+ T細胞は、回復期の患者の最大70%で検出されることが、新たなデータによって示されている。しかし、SARS-CoV-2感染の自然経過の際の既存および誘導性のSARS-CoV-2特異的CD8+ T細胞応答の存在度、表現型、能力の高さ、運命についての情報は、現在のところほとんど得られていない。我々は今回、最適かつ優勢なSARS-CoV-2特異的CD8+ T細胞エピトープのセットを明らかにした。また、ペプチドを結合させた主要組織適合複合体クラスI(pMHCI)テトラマーを作製する手法によって、既存および誘導性のSARS-CoV-2特異的CD8+ T細胞の高分解能ex vivo解析を行った。横断的解析を実施したSARS-CoV-2感染後の症状が軽症の患者と、SARS-CoV-2感染の前後でT細胞を長期的に評価した3人において、不均質で、機能的に交差反応性が見られる誘導性の記憶CD8+ T細胞応答が迅速に誘導され、収束と出現が持続することが観察された。SARS-CoV-2特異的記憶CD8+ T細胞は、インフルエンザ特異的CD8+ T細胞に似た機能特性を示し、スパイクタンパク質(S)や核タンパク質(N)を標的とする抗SARS-CoV-2抗体に対する血清反応が陰性だったSARS-CoV-2感染回復期患者において検出された。これらの結果は、交差反応性で誘導性のSARS-CoV-2特異的CD8+ T細胞応答が、軽症のSARS-CoV-2感染での免疫防御の重要な決定因子である可能性を明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度