Letter

遺伝学的スクリーニング:集団遺伝学的スクリーニングは常染色体優性遺伝病の保因者を効率よく見つけ出す

Nature Medicine 26, 8 doi: 10.1038/s41591-020-0982-5

BRCA関連遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)、リンチ症候群(LS)および家族性高コレステロール血症(FH)の3つの常染色体優性遺伝性疾患は、米国疾病予防管理センター(CDC)の第1階層(CDCT1)に分類される遺伝病で、早期の特定と介入が臨床的対応に有意義と考えられ、公衆衛生によい影響を及ぼす可能性がある。一般的な診療では、このような疾患に対する遺伝学的検査は、患者の病歴あるいは家族歴、民族的背景などの他の人口統計学的特徴に基づいている。我々は、The Healthy Nevada Project (HNP)の参加者2万6906人からなるコホートで、集団スクリーニングによってこれらの遺伝病の保因者を効率よく見つけ出せるかをまず評価し、次に、遺伝的リスクがこれらの参加者の健康転帰に及ぼす影響を評価した。HBOC、LSおよびFHの病因性および病因性と思われる(P/LP)遺伝的バリアントの統合保因率は1.33%であることが分かった。これらの保因者のうち、21.9%は臨床的に関連する疾患があり、70%は65歳前に関連疾患と診断されていた。さらに、リスク保有者の90%はこれまでに特定されたことがなく、家族歴を含めて、遺伝病リスクが遺伝していることについて医療記録に記載があったのは、これらの19.8%未満だった。全リスク保有者を対象とした直接の追跡調査では、関連疾患の家族歴を報告した人は25.2%にすぎなかった。HNPに関する今回の経験から、患者の遺伝学的スクリーニングでは、リスクが考えられる保因者を特定できる可能性があり、このような保因者は日常的ケアでは見つけられないだろうことが示唆された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度