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がんゲノム:コリバクチンDNA損傷シグネチャーは大腸がんでの変異の影響を示す

Nature Medicine 26, 7 doi: 10.1038/s41591-020-0908-2

粘膜上皮は、慢性的な細菌感染やそれによって生じた毒素による損傷の一般的な標的であり、ほとんどのがんがこの組織に起源を持つ。今回我々は、特定の大腸菌(Escherichia coli)株と関連する強力な遺伝毒性物質のコリバクチンが、感染したヒト大腸細胞で特異的なDNA損傷シグネチャーを作り出すかを調べた。コリバクチン誘発性DNA二本鎖切断が起きた周辺のゲノムには、ATリッチな6塩基の配列モチーフが多く含まれ、独特なDNA形状と関連していることが分かった。数千のがんゲノムでコリバクチン標的部位での体細胞変異を調べたところ、大腸がんではこのモチーフが他より著しく多く存在していることが明らかになった。さらに、正確な二本鎖切断座位はがんゲノム中の変異ホットスポットに対応しており、正常な大腸上皮細胞で以前に特定されたトリヌクレオチドシグネチャーを想起させる。本研究は、ヒトがんでのコリバクチンの病因的役割に関する証拠を示している。

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