Letter

ゲノミクス:LRRK2機能喪失バリアントのヒトでの影響

Nature Medicine 26, 6 doi: 10.1038/s41591-020-0893-5

タンパク質をコードする遺伝子の機能喪失(pLoF)を引き起こすと予測されるヒト遺伝的バリアントは、ヒト遺伝子不活性化の天然のin vivoモデルとなり、遺伝子機能やこのような遺伝子を治療標的とする阻害剤が持つかもしれない毒性の貴重な指標となることがある。LRRK2のキナーゼ機能獲得バリアントは、パーキンソン病のリスクを著しく上昇させることが知られており、LRRK2キナーゼ活性の阻害は有望な治療戦略であると考えられている。LRRK2の阻害については、モデル生物での前臨床研究でいくつかのオンターゲット毒性が懸念されているが、ヒトでLRRK2阻害がもたらす生物学的影響の特性は十分に調べられていない。今回我々は、LRRK2のpLoFバリアントを、gnomAD(Genome Aggregation Database)中に塩基配列が収められている14万1456人、英国バイオバンクでエキソーム塩基配列が解読された4万9960人、それに23andMeの遺伝子型解析データセットに参加した400万人以上で体系的に解析した。バリアントの厳密なキュレーションを行ってから、LRRK2の高信頼度pLoFバリアントを持つ1455人を特定した。3つのバリアントの実験的検証と以前の研究結果とを組み合わせることで、我々のコホートの82.5%でタンパク質レベルの低下が確認された。LRRK2 pLoFバリアントのヘテロ接合では、LRRK2タンパク質レベルが低下するが、特定の表現型や疾患状態との強い関連は認められなかった。我々の結果は、創薬における標的検証に大規模ゲノムデータベースと機能喪失変異保因者の表現型解析が持つ価値を実証したものである。

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