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網膜色素変性:RPGRに生じた変異に起因するX連鎖性網膜色素変性に対するFIH遺伝子治療試験の初期の結果

Nature Medicine 26, 3 doi: 10.1038/s41591-020-0763-1

網膜色素変性(RP)は主要な光受容器の変性症で、若年者の重度の視力低下につながる。網膜の遺伝子治療は、RPの治療法として大いに期待できることが明らかとなっている。本研究では、GTPアーゼ調節因子(RPGR)遺伝子の変異によって引き起こされるX連鎖性RPに対する、用量漸増法によるヒト初回投与(FIH)第1/2相臨床試験について報告する。この試験では、18人の患者に対して最長6か月にわたる追跡を行った(https://clinicaltrials.gov/; NCT03116113)。この研究の主要評価項目は安全性であり、副次評価項目として視力、微小視野計測および中心網膜厚が含まれる。高用量患者でのステロイド応答性網膜下炎症を別にすれば、コドン最適化したヒトRPGRをアデノ随伴ウイルスベクター(AAV8-coRPGR)で網膜下へ送達した後に、安全性に対する重要な懸念が生じることはなく、事前に規定した主要評価項目が達成された。視野の改善は6人の患者で1か月目に始まり、追跡の最終時点まで維持された。

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