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遺伝子治療:X連鎖慢性肉芽腫症に対するレンチウイルスを用いる遺伝子治療

Nature Medicine 26, 2 doi: 10.1038/s41591-019-0735-5

慢性肉芽腫症(CGD)は、食細胞の稀な遺伝性障害である。本論文では、重症のX連鎖CGD(X-CGD)患者9人にまず骨髄破壊的前処置を施してから、ex vivoで自己CD34+造血幹・前駆細胞を用いるレンチウイルス遺伝子治療を行ったFIH(first-in-human)試験(臨床試験登録番号NCT02234934およびNCT01855685)の当初の結果を報告する。今回の試験の主要目的は、安全性査定と12か月の時点での生着細胞子孫の生化学的および機能的再構築の有効性と安定性の評価であった。副次的目的には、細菌感染と真菌症に対する免疫増強の評価と、造血幹細胞への形質導入や生着の評価が含まれていた。登録された患者のうちの2人は、以前からの併存症により治療開始から3か月以内に死亡した。12か月の時点で、7人の生存患者のうち6人で、安定したベクターコピー数(好中球1個当たり0.4~1.8コピー)と、オキシダーゼ陽性好中球の16~46%の割合での持続が見られた。クローン調節異常と導入遺伝子サイレンシングのどちらについても分子的証拠は見られなかった。生存患者でCGDに関連する新規感染は起こらず、6人はCGD関連の予防的抗生物質投与を中止できた。主要目的は、12か月の追跡期間終了時点で9人の患者のうちの6人で達成されたので、自己細胞を用いた遺伝子治療はCGD患者に対する有望な手法であると考えられる。

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