Editorial

科学者は社会との間に生まれたつながりを維持しなくてはいけない

Nature Medicine 26, 10 doi: 10.1038/s41591-020-1111-1

COVID-19のパンデミック(世界的大流行)は、科学者と社会の間を直接つなぐきっかけとなった。ツイッターから主要な報道機関のオピニオンページまで、さまざまなルートを介して、研究者たちは実験室を出て、一般人に直接対話することになったのである。一般の人々の医学研究に関する知識や関心は急上昇し、プレプリントサービスやフリーアクセスの論文といったものにまで手を伸ばすようになった。科学者と一般人との間にこれまで存在していた障害が一気に打破された今、科学者はこの好機を捉え、一般社会で彼らが果たそうとしている役割について考え直し、専門家から素人まで、多様な人々と有効な情報交換ができるように努力すべきだ。科学者のこうした社会参加に向けた努力や費やす時間は、必ずそれに応じた報酬をもたらすだろう。

また、こうやって構築された情報交換チャネルは、持続させなくてはならない。科学研究の目的は新しい知識を得ることだけではない。得た知識は、社会のあらゆる領域がその恩恵を被るように使うべきものだ。科学者と社会との連携は、一般社会の科学への信頼を強く確かなものにするだけでなく、科学に対する意識を高め、さらには科学教育に対する関心をも高めることになるだろう。科学は、研究室の中に囲い込んでおくだけではもったいない、重要な「ソーシャルグッド」、つまり社会を良くする活動なのだ。

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