Perspective

がん:腎細胞がんでHIF2–VEGF軸を標的にする

Nature Medicine 26, 10 doi: 10.1038/s41591-020-1093-z

淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC)などのVHL不活性化によって引き起こされるがんの治療に、転写因子であるHIF(低酸素誘導因子)や、VEGFなどのHIF応答性増殖因子を標的とする薬剤が試されるきっかけとになったのは、腫瘍抑制因子pVHLが酸素感知に果たす役割に関する知見であった。現在、複数のVEGF阻害剤がccRCCの治療として認可されており、HIF2α阻害剤の1つは、この疾患に対する第3相試験へと開発が進んでいる。これらの阻害剤はまた、免疫チェックポイント阻害剤と併用されることが多くなっている。本稿では、VHL関連腫瘍の患者のためのHIF2αを標的とする治療法の開発につながった酸素感知や低酸素シグナル伝達の機序の解明について述べ、またこれらの治療法の使用を他のがんへと拡大するという将来の目標を提示する。

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