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トランスクリプトミクス:月経周期中のヒト子宮内膜の単一細胞トランスクリプトームアトラス

Nature Medicine 26, 10 doi: 10.1038/s41591-020-1040-z

ヒトの月経周期の間に、子宮内膜はリモデリング、脱落、再生を経るが、これらは全て、基盤である細胞階層内の遺伝子発現のかなりの規模の変化によって進められる。この独自のタイプの組織恒常性はヒトの稔性や再生生物学的性質に重要だが、それにもかかわらず解明は進んでいない。今回我々は、ヒト子宮内膜のトランスクリプトームの変化を、単一細胞の分解能で月経周期を通じて詳しく解析し、細胞的不均一性を多次元的に明らかにした。子宮内膜の変化の4つの主要な段階の間に、子宮内膜の細胞の7つのタイプ(これまで明らかにされていなかった繊毛を持つ細胞タイプを含む)の挙動のプロファイリングを行い、それぞれの細胞タイプおよび段階に特徴的なシグネチャーを見いだした。ヒトでの着床可能期間は、上皮での突然で非連続的なトランスクリプトーム活性化とともに開始され、これには間質繊維芽細胞で広く見られる脱落膜化特性を伴っていることが分かった。我々の研究は、月経周期を通じたヒト子宮内膜の変化について、分子レベルおよび細胞レベルでの特徴付けを高分解能で行ったもので、この非常に重要な生理学的過程についての知見をもたらす。

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