Letter

腸内微生物相/PCOS:腸内微生物相-胆汁-インターロイキン22経路は多嚢胞性卵巣症候群を調節する

Nature Medicine 25, 8 doi: 10.1038/s41591-019-0509-0

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、アンドロゲン過剰、排卵機能障害および多嚢胞性卵巣を特徴とし、しばしばインスリン抵抗性を伴う。PCOSでの排卵障害とインスリン抵抗性の機序は不明であり、これが治療薬の開発を制限している。代謝の健全性を改善すれば、それに伴って微生物相の遺伝子含量が比較的高くなり、微生物多様性が増加する。本研究は、PCOSに関連する排卵機能障害とインスリン抵抗性の調節への腸内微生物相とその代謝産物の影響を調べるために行われた。PCOS患者の腸内微生物相ではBacteroides vulgatusが著しく増加しており、それに伴ってグリコデオキシコール酸およびタウロウルソデオキシコール酸のレベルが低下していることが分かった。PCOSの女性、もしくはB. vulgatusを定着させたレシピエントマウスに由来する糞便細菌相の移植は、卵巣機能障害の悪化、インスリン抵抗性、胆汁酸代謝の変化、インターロイキン22分泌減少および不妊につながった。機序としては、グリコデオキシコール酸が腸のグループ3自然リンパ球のIL-22分泌をGATA結合タンパク質3を介して誘導し、次いでIL-22がPCOS表現型を改善した。この知見は、PCOS患者でのIL-22レベルの低下と一致している。本研究は、腸内微生物相の調節と胆汁酸代謝の変化やIL-22レベルの上昇が、PCOSの治療に有益である可能性を示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度