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感染症:世界的に流行するH1N1インフルエンザA型ウイルス感染に対する防御と相関する新しい因子

Nature Medicine 25, 6 doi: 10.1038/s41591-019-0463-x

インフルエンザウイルスはヒトの健康に対して今もなお深刻な脅威であり、年間65万人に及ぶ死亡の原因となっている。季節性インフルエンザウイルスワクチンは感染を予防できるが、抗原連続変異により効力が失われる。感染に対する防御を改善するために、インフルエンザウイルスの保存されたエピトープ、具体的にはヘマグルチニンストークやノイラミニダーゼに存在するエピトープを標的とする新規インフルエンザウイルスワクチンが現在開発中である。ヘマグルチニンストークに対する抗体は、動物実験では防御効果をもたらすことが分かっている。しかし、ヒトの自然感染に関するデータは存在せず、また、このような抗体は赤血球凝集抑制試験で活性が見られない。赤血球凝集抑制力価は現在、インフルエンザウイルス感染に対する防御と相関するとされている。これまでの研究では、細胞性免疫応答およびノイラミニダーゼ阻害抗体の防御効果が調べられてきたが、感染防御のまた別の血清学的相関物が見つかれば、広い防御作用のあるワクチン、つまりインフルエンザウイルスに対するユニバーサルワクチン開発の助けとなるだろう。研究上のこうした空白部分に取り組むため、我々は、家庭内伝播について調べ、ウイルスに自然曝露された個体での感染や発病からの防御に相関するまた別の因子を突き止めた。この研究によって、赤血球凝集抑制、完全長ヘマグルチニン、ノイラミニダーゼおよびヘマグルチニンストーク特異的抗体に関して感染を50%防御する力価とレベルを決定した。さらに、ヘマグルチニンストークに対する抗体は、インフルエンザウイルス感染からの防御に、独立して相関を示すことが分かった。

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