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体外受精:体外受精は胎児および胎盤細胞系列でのde novoコピー数変化の発生率を上昇させない

Nature Medicine 25, 11 doi: 10.1038/s41591-019-0620-2

染色体不安定性(CIN)は体外受精(IVF)後の卵割期胚発生でよく見られる現象だが、自然妊娠ヒト胚でのCINの割合については不明である。CINは遺伝的に正常な細胞と異常な細胞が混在するモザイク胚の生成につながり、in vitroで作製された着床前胚では、in vivoで妊娠した着床前胚と比べるとCINが非常に多く見られる。CINによって生じた複雑な異数性胚は、胚発生の卵割期と胚盤胞期の間で停止する可能性があるのにもかかわらず、異常な細胞を含んだ胚の多数が、この強力な選択障壁を乗り越えることができる。しかし、IVF処置後の出生前発育期や出生時のCINの有病率や程度については、よく分かっていない。今回我々は、IVF児と自然妊娠児の両方について、分娩後の胎児と胎盤組織のゲノム全体像のプロファイリングを行い、IVFに関連したCINにより生じたと思われる大規模な遺伝的異常の有病率と持続性を調べた。出生前発育期の後期ではCINは維持されておらず、de novoの染色体数異常もしくはDNAの大規模な構造的不均衡は、IVFもしくは自然妊娠による新生児(生産児)で同程度であることが明らかになった。今回の知見によって、ヒトでのIVFは胎児や胎盤の細胞系列における染色体構成に有害な影響を与えないことが確認された。

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