Analysis

データ解析法:観察研究での回避可能な欠陥─スタチンとがんへの応用例

Nature Medicine 25, 10 doi: 10.1038/s41591-019-0597-x

大規模なヘルスケアデータベースの利用可能性が高まったことで、実社会のデータが医療の利益・リスク評価に役割を担うべきかどうかについての激しい論争はさらに活気付いている。一例を挙げれば、多くの観察研究で、スタチン使用者のがんリスクは無作為化試験のメタ解析の結果よりもかなり低いことが明らかになっている。このような相違は、観察研究では無作為化が行われていないことが原因とみなされがちだが、標的試験(関心のある問題に答える無作為化試験)を明確に模倣することで回避可能な欠陥により説明される可能性がある。我々は英国人成人73万3804人の電子カルテを用いて、スタチンとがんの標的試験を模倣し、得られた推定値と、以前に適用された解析法を用いて得られた推定値とを比較した。10年間を超える期間にわたる追跡調査で、2万8408人ががんを発症していた。標的試験を用いる方法では、治療企図(ITT;intention-to-treat)解析で推定された観察アナログとper-protocol解析での10年無がん生存率の差異は、それぞれ−0.5%〔95%信頼区間(CI):−1.0%, 0.0%〕と−0.3%(95% CI;−1.5%, 0.5%)だった。対照的に、以前使われた解析手法では、強い保護作用のように見える推定値が得られた。今回の知見は、標的治療を明確に模倣して、観察解析から得られた効果推定値のバイアスを減らすことの重要性を明らかにしている。

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