Letter

がん:肺がんの死亡率と関連するクローン性発現バイオマーカー

Nature Medicine 25, 10 doi: 10.1038/s41591-019-0595-z

分子バイオマーカーの目的の1つは転帰を予測する疾患サブタイプへとがん患者を層別化することで、これは診断精度を腫瘍の進行段階などの臨床的な記述よりも改善する。腫瘍内トランスクリプトームの不均一性(RNA-ITH)は、既存の発現ベースのバイオマーカーに、多数のがん種にわたって混乱を生じさせることが示されている。今回我々は、非小細胞性肺がんでRNA-ITHを探索し制御するためのTRACERx試験に登録した48人の患者に由来する156の腫瘍部位の多領域全エキソームおよびRNA塩基配列解読データを解析した。染色体不安定性がRNA-ITHを生じさせる主要な推進因子であり、既存の予後予測遺伝子発現シグネチャーは腫瘍採取の偏りによって影響を受けやすいことが分かった。この問題に対処するために、我々は個々の腫瘍内で均一に発現する遺伝子を明らかにした。これはがん細胞増殖の発現モジュールをコードしていて、腫瘍進化の初期に選択されたDNAコピー数獲得によって誘導されることが多い。クローン性のトランスクリプトームバイオマーカーは、腫瘍採取の偏りに影響されず、臨床病理学的リスク因子とは無関係に生存と関連付けられ、がん種にまたがるバイオマーカー設計を見直すための一般的な戦略となる可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度