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がん:腫瘍切除と疾患再発に先立って起こる肺静脈循環腫瘍細胞の播種

Nature Medicine 25, 10 doi: 10.1038/s41591-019-0593-1

治癒目的で手術を受ける初期の非小細胞肺がん(NSCLC)患者では、約50%が5年以内に再発することが多い。手術時に循環腫瘍細胞(CTC)が検出されると再発のリスクがより高くなるので、これはより頻繁な監視を勧めた方が良い患者を突き止める手段となる可能性がある。今回我々は、初期NSCLCの外科的切除に際してCellSearchが検出した肺静脈CTC(PV-CTC)が、その後の疾患再発の原因のサブクローンに当たるかどうかを検討した。PV-CTCは、TRACERx試験に参加した100人の患者の48%で検出され、肺がん特異的再発と関連付けられ、腫瘍の進行度に合わせた多変量解析でも再発の独立した予測因子とされた。ある症例研究では、手術時に採取した単一のPV-CTCのゲノムプロファイリングによって、変異の重複度は10か月後に検出された転移(91%)の方が、原発腫瘍(79%)よりも高いことが明らかになり、初期に広がったPV-CTCが疾患再発の原因であったことが示唆された。まとめると、PV-CTCの計数とゲノムプロファイリングは、PV-CTCが手術後のNSCLC再発の初期予測因子となり得る可能性を明確に示している。しかしながら、再発予測におけるPV-CTCの感度が限定されていることは、初期NSCLCでのPV-CTCの臨床利用の可能性を確認し、よりはっきりさせるには、もっと大規模で独立したコホートを用いたさらなる研究が必要であることを示唆している。

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