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がん:腫瘍由来のIFNは、IFN経路の慢性アゴニスト作用やADAR喪失に対する感受性を引き起こす

Nature Medicine 25, 1 doi: 10.1038/s41591-018-0302-5

インターフェロン(IFN)は、感染症や悪性疾患の抑制に重要な役割を果たすサイトカインである。IFNシグナル伝達の強度や継続時間が、免疫チェックポイント阻害などのがん治療に特異的に影響する可能性を示すデータが増えてきている。今回我々は、がんゲノムアトラスの原発性腫瘍でIFNシグナル伝達の出力、特にISG(IFN-stimulated gene)のシグネチャーを調べた。原発性腫瘍の一部では、免疫細胞の浸潤がISGのシグネチャーと相関したが、IFNを産生する免疫細胞の明らかな浸潤が見られないISGシグネチャー陽性腫瘍が存在することから、がん細胞自体がIFN産生と供給を行っている可能性が考えられた。これと一致して、免疫不全マウスで増殖させた患者由来腫瘍異種移植片の解析から、がん細胞由来のヒトI型IFNとIII型IFNの発現と関連するISG陽性腫瘍の存在を示す証拠が得られた。Cancer Cell Line EncyclopediaからのISGシグネチャーを持つ細胞株モデルを用いた機構研究から、ISGシグネチャーはSTING依存的経路の副産物で、腫瘍由来の慢性的IFN産生を引き起こすことが実証された。これにより、腫瘍はセンサーレベル(MDA5、RIG-I、PKR)が上昇して二本鎖RNA(dsRNA)の異常蓄積に応答するために待機する転写状態になる。398個のがん細胞株で機能を備えた短鎖ヘアピンRNAスクリーニングデータセットを調べ、このISG転写状態が新規な遺伝的脆弱性を作り出していることが分かった。ISGシグネチャー陽性がん細胞は、dsRNA編集酵素でISGでもあるADARの喪失に感受性である。ゲノム規模のCRISPR遺伝的抑制因子スクリーニングを行い、I型IFN経路の全体およびdsRNA活性化キナーゼであるPKRが、ADAR枯渇によって誘導される致死に必要であることが明らかになった。従って、腫瘍由来IFNは慢性的なシグナル伝達を引き起こし、dsRNAの蓄積に応答する準備のできた細胞状態を作り出すことで、ISG陽性腫瘍をADAR喪失に感受性にしている。

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