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深層学習/画像処理:遺伝性疾患の顔面表現型を深層学習を使って見つけ出す

Nature Medicine 25, 1 doi: 10.1038/s41591-018-0279-0

症候群性の遺伝性疾患は、総計で人口の8%が罹患している。多くの症候群で顔面に明らかな特徴が認められ、これは臨床遺伝学者にとって非常に有益な情報である。最近の研究では、症候群の識別能力が専門臨床医に迫る顔面解析技術が報告されている。しかし、これらの技術が識別できるのは少数の疾患表現型だけであり、多数の診断を考慮しなくてはならない臨床現場で果たせる役割は限られている。今回我々は、顔面画像解析用のフレームワークで、コンピュータービジョンと深層学習アルゴリズムを用いて、多くの症候群の類似性を定量化するDeepGestaltについて報告する。DeepGestaltは、3つの初期実験で臨床医よりも優れた成績を示した。これらの実験のうちの2つは対象とする症候群に罹患している被験者と他の症候群の被験者とを見分けることが目的であり、もう1つはヌーナン症候群の多様な遺伝的サブタイプを分類する試験だった。実際の臨床現場での問題を反映した最終的な実験では、DeepGestaltは502枚の異なる画像について正しい症候群を特定し、91%というトップ10に入る結果を達成した。このモデルは、200種類を超える症候群を含む1万7000枚以上の画像からなるデータセットで訓練されており、データセットはコミュニティー主導の表現型解析プラットフォームを介してキュレートされたものである。DeepGestaltは、臨床遺伝学、遺伝学的検査、遺伝子研究、基礎医学、および精密医療での表現型評価の価値を大きく高める可能性がある。

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