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サルコペニア:exerkineであるアペリンは加齢関連サルコペニアを回復させる

Nature Medicine 24, 9 doi: 10.1038/s41591-018-0131-6

骨格筋の量、質と強度が変性により失われるサルコペニアには、早期の診断手段がなく、フレイル状態から身体障害状態への移行(高齢者の医療施設への入所の原因となることが多い)を防ぐ新たな治療戦略も存在しない。今回我々は、筋収縮によって誘導される内因性ペプチドであるアペリンの産生がヒトおよび齧歯類動物で加齢依存的に減少しており、アペリン産生は高齢者において運動がもたらす有益な影響と正に関連していることを報告する。アペリンもしくはその受容体(APLNR)のどちらかを欠損したマウスでは、加齢とともに筋肉機能の急激な変化が見られた。加齢の間にアペリンシグナル伝達を回復させるさまざまな方法によって、このペプチドが、筋繊維でのミトコンドリア発生、オートファジーおよび抗炎症性経路の誘導に加えて、筋幹細胞を標的とした再生能増強により、筋肉機能を著しく強化することが明らかになった。まとめると、これらの知見は、身体活動、アペリンおよび筋肉機能の間の正の調節性フィードバックを明らかにしており、またアペリンが初期サルコペニアの診断手段となるだけでなく、加齢に関連した筋力低下を防止して身体的自律性を回復させるための革新的な薬理学的戦略の標的でもあることを明らかにしている。

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