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遺伝子編集:リボ核タンパク質複合体として送達された忠実度の高いCas9変異体はヒト造血幹・前駆細胞での効率的な遺伝子編集を可能にする

Nature Medicine 24, 8 doi: 10.1038/s41591-018-0137-0

CRISPR–Cas9系をヒト医療へ応用できるようにするトランスレーショナル研究には大きな期待がかけられている。しかし、特異性について、特に幹細胞集団を修飾する際の特異性については、依然として不安が残っている。本論文では、既存の合理的に改変された忠実度の高いCas9バリアントは、治療に適したリボ核タンパク質(RNP)送達法を用いると、オンターゲット活性が低下することを示す。我々は偏りのない細菌スクリーニングを考案して、RNP送達法を使った際に活性を維持するバリアントを単離した。Cas9に単一の点変異p.R691Aを導入したバリアント〔HiFi(high- fidelity)Cas9〕では、Cas9の高いオンターゲット活性が保持される一方、オフターゲット編集が減少した。HiFi Cas9は、ヒトCD34+造血幹・前駆細胞(HSPC)に加え、初代T細胞でも、5つの治療関連座位(HBBIL2RGCCR5HEXBTRAC)でAAV6によるロバストな遺伝子ターゲッティングを誘導する。また、HiFi Cas9は、鎌状赤血球症(SCD)患者由来のHSPCで、SCDを引き起こすp.E6V変異を高レベルで修正する。HiFi Cas9は、基礎科学とゲノム編集の治療応用の両方で広い有用性を発揮すると、我々は予想している。

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