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がん:がん代謝物である(R)-2-ヒドロキシグルタル酸による抗腫瘍T細胞免疫の抑制

Nature Medicine 24, 8 doi: 10.1038/s41591-018-0095-6

(R)-2-ヒドロキシグルタル酸(R-2-HG)は、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)の変異によって産生されるがん代謝物で、DNAやヒストンのメチル化を介して神経膠腫の発生を助ける。我々は、R-2-HGのもう1つの働きを明らかにした。腫瘍細胞由来のR-2-HGはT細胞に取り込まれ、細胞内でNFAT(nuclear factor of activated T cell)の転写活性とポリアミン生合成をかく乱し、その結果としてT細胞の活性を抑制する。変異型IDH1を持つ神経膠腫では、T細胞数が減少し、カルシウムシグナル伝達が変化する。実験的に同系な変異型IDH1を持つ腫瘍に対して、IDH1特異的ワクチンあるいはチェックポイント阻害によって誘導される抗腫瘍免疫は、変異型IDH1の新形質である酵素機能を阻害することで効果が高まる。これらの結果は、がん代謝物の1つが腫瘍免疫微小環境の形成に、腫瘍細胞自律的ではない新規な役割を担っていることを示している。

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