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肺繊維症:メトホルミンはブレオマイシンモデルで確立された肺繊維症を回復させる

Nature Medicine 24, 8 doi: 10.1038/s41591-018-0087-6

繊維症は、組織損傷に対する修復応答が正常に機能しない場合に生じる病理学的結果であり、肺などの複数の臓器に起こる。損傷に対する組織の修復応答やリモデリング応答を調節するのは、細胞代謝である。AMPKは細胞の生体エネルギー的状況の重要なセンサーであり、同化から異化への代謝の切り替えを制御している。しかし、繊維症におけるAMPKの役割はよく分かっていない。我々は今回、特発性肺繊維症(IPF)患者と肺繊維症の実験的マウスモデルでは、代謝が活発に行われていてアポトーシス抵抗性の筋繊維芽細胞が存在する繊維形成領域においてAMPK活性が低下していることを明らかにする。IPF患者の肺に由来する筋繊維芽細胞でAMPKを薬理学的に活性化すると、繊維形成活性が低下し、それとともにミトコンドリアの生合成の亢進、アポトーシス感受性の正常化が見られた。マウスの肺繊維症のブレオマイシンモデルでは、治療目的でメトホルミンを投与すると、十分に確立された繊維症のAMPK依存的解消が促進された。これらの結果は、解消しない病的繊維形成過程にAMPK活性化の低下が関与していることを示しており、メトホルミン(あるいは他のAMPK活性化因子)が、確立された繊維症を筋繊維芽細胞の脱活性化やアポトーシスの促進によって回復させる働きを支えていることを裏付けている。

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