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心疾患:ヒトの心臓には起源と機能が相異するマクロファージサブセットが含まれる

Nature Medicine 24, 8 doi: 10.1038/s41591-018-0059-x

マウスでは組織マクロファージの不均一性が免疫応答の重要な決定要因であることが、従来の考えを大きく変える画期的研究によって明らかになった。これとは対照的に、ヒトのマクロファージの不均一性については意外なほど解明が進んでいない。マウス心臓内のマクロファージは、CCR2−サブセットとCCR2+サブセットに区分され、これらは起源、再増殖機構、および機能が異なっている。本論文では、ヒト心筋にもCCR2−マクロファージとCCR2+マクロファージという異なるサブセットが含まれることを示す。性別が一致していない心臓移植レシピエントについての解析から、CCR2−マクロファージは局所での増殖を介してのみ補充される組織常在型細胞集団であるのに対して、CCR2+マクロファージは単球の誘導や増殖を介して維持されることが明らかになった。さらに、CCR2−マクロファージとCCR2+マクロファージは機能特性が異なっていて、マウス心臓に含まれる修復性CCR2−マクロファージと炎症性CCR2+マクロファージにそれぞれ類似している。臨床的には、CCR2+マクロファージの存在量は心不全患者での左心室リモデリングと収縮機能に関連している。まとめるとこれらの観察結果は、ヒト心臓で見られるマクロファージの不均一性の機能的重要性に対する初期的な証拠を提示するものである。

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