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加齢黄斑変性:加齢黄斑変性でcGASはインフラマソームの非カノニカルな活性化を促進する

Nature Medicine 24, 1 doi: 10.1038/nm.4450

地図状萎縮は、網膜色素上皮(RPE)の細胞死を特徴とする加齢黄斑変性の病型の1つで、失明につながる。RPEではDICER1の欠失も見られ、その結果レトロトランスポゾンである内因性のAlu-RNAの蓄積とNLRP3インフラマソームの活性化が起こる。治療が難しいこの疾患でNLRP3インフラマソームが活性化される仕組みについてはほとんど明らかになっていない。我々は、ヒト培養細胞およびマウスモデルでのRPE変性が非カノニカルなインフラマソーム経路を介して進むことを明らかにする。この経路はカスパーゼ-4(マウスではカスパーゼ-11)やカスパーゼ-1を活性化し、サイクリックGMP–AMPシンターゼ(cGAS)依存性のインターフェロン(IFN)-β産生とガスダーミンDに依存するインターロイキン-18分泌を必要とする。DICER1のレベル低下、もしくはAlu-RNAの蓄積はミトコンドリアDNAの細胞質への逸出を引き起こし、これがcGASを活性化する。さらに、地図状萎縮の見られる加齢性黄斑変性患者の眼のRPEでは、カスパーゼ-4、ガスダーミンD、IFN-β、cGASのレベルが上昇していた。以上の結果は、cGASが可動性遺伝因子の転写産物への応答に予想外の役割を持つことを明確に示しており、cGASによるIFNシグナルの伝達がミトコンドリア損傷によって誘導されるNLRP3インフラマソームの活性化を導くことを明らかにしている。また、cGASとカスパーゼ-4の免疫感知レパートリーが非感染性のヒト疾患にまで及ぶことが示され、失明の重要な原因の治療における新たな標的候補が突き止められた。

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