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アルツハイマー病:アミロイドβ斑は、アルツハイマー病に罹患した脳でのタウによる播種病変を老人斑でのタウ集積の促進により拡大する

Nature Medicine 24, 1 doi: 10.1038/nm.4443

アルツハイマー病(AD)は、細胞外のアミロイドβ(Aβ)斑と細胞内のタウ封入体を特徴とする。しかし、これら2つのAD病変を結び付ける機構の詳細はまだ分かっていない。我々は、Aβ斑を有するマウスモデル(タウを過剰発現していない)へヒトAD脳由来の病原性タウ(ADタウ)を注入することで、ADと関連するタウ病変の主要な3つのタイプ、すなわちAβ斑を囲むジストロフィー性神経突起中のタウ凝集体(NPタウ)、AD様の神経原繊維変化(NFT)およびニューロピルスレッド(NT)の形成を再現した。これら3種のタウ病変は発現の時間的経過が異なり、神経活動や行動への機能的影響も違う。さらに、Aβ斑はプロテオパチー性のAD–タウの播種病変が大型のタウ凝集体へと迅速に拡大するのを促進する独特な環境を作り出すことが分かった。このような凝集体は、当初はNPタウとして出現し、その後、おそらく二次的な播種事象を介してNFTやNTを形成して広がる。我々の研究は、Aβ斑に関連したタウ病変の基盤となる、これまで知られていなかった多段階的機構についての手掛りを与えるものである。

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