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白血病:小児の急性骨髄性白血病の分子的全体像から明らかになった頻発する構造変化と年齢特異的な変異間相互作用

Nature Medicine 24, 1 doi: 10.1038/nm.4439

本論文では、小児の急性骨髄性白血病(AML)の分子的全体像と、COG(Children's Oncology Group)のAML臨床試験に参加した約1000人について特徴を調べた結果を報告する。COGと米国立がん研究所によるTARGET AMLイニシアチブでは、全ゲノム、標的DNA、mRNA、マイクロRNAの塩基配列解読、およびCpGメチル化プロファイリングによって症例が評価された。検証されたDNAバリアントはさまざまな希少変異に該当し、変異している遺伝子の数は症例の2%以上で40未満だった。対照的に、体細胞での構造バリアントには新しい遺伝子融合や、MBNL1ZEB2ELF1の限局性欠失などが含まれ、成人と比べて若齢者の方に分布が偏っていた。これとは逆に、成人によく見られるDNMT3ATP53の変異が小児症例のほぼすべてに存在しなかったことは目立つ特徴である。GATA2FLT3CBLでの新しい変異や、MYC-ITD、NRASKRASWT1に頻発する変異は小児AMLでよく見られた。欠失、変異、プロモーターDNAの過剰メチル化は、Wntシグナル伝達、ポリコーム抑制、自然免疫細胞の相互作用、KMT2Aの再編成に関連する、ジンクフィンガーをコードする遺伝子群のクラスターに集中的に影響を及ぼしていた。これらの結果は、小児AMLの治療については、年齢に合わせた特別の標的治療が必要であり、その開発が急がれることを明確に示している。

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