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C型肝炎:C型肝炎ウイルス誘導性のマイクロRNAはインターフェロンを介した抗ウイルスシグナル伝達を減弱する

Nature Medicine 22, 12 doi: 10.1038/nm.4211

C型肝炎ウイルス(HCV)は世界で2億人に感染していて、症例の60〜80%は慢性感染として維持され、患者の2〜10%ではそれが肝硬変や肝がんに進行すると考えられる。我々は最近、HCVはミオシン遺伝子によってコードされるmiR-208bおよびmiR-499a-5pという2つの宿主マイクロRNA(miRNA)の感染肝細胞で異常発現を誘導することを明らかにした。ミオシン遺伝子にコードされているこれらのmiRNAは、AUリッチ領域を介した分解に伴って、III型インターフェロン(IFN)遺伝子ファミリーのメンバーであるIFNL2およびIFNL3を抑制してウイルス存続を助ける。本研究では、miR-208bおよびmiR-499a-5pはI型IFN受容体鎖であるIFNAR1の発現を直接低下させることで、HCV感染肝細胞でのI型IFNシグナル伝達も減弱させることを示す。HCV感染の間にmiRNA阻害剤を使ってこれらのmiRNAを阻害すると、IFNAR1の発現が増加した。さらに、この阻害によって外来性I型IFNに対する抗ウイルス応答が回復したが、それはIFNによって刺激された遺伝子の著しい増加とHCV負荷の減少から明らかである。HCV感染肝細胞へのI型IFNの投与は、HCV感染単独の場合よりもミオシンの発現を増加させた。これらのmiRNAはIII型IFNファミリーメンバーを抑制できるので、今回の結果はHCV感染時のI型およびIII型IFNの間の新たな相互調節を明らかにするものである。

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