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白血病:DNMT3Aの変異はヌクレオソームのリモデリング障害を介して急性骨髄性白血病でのアントラサイクリン抵抗性を促進する

Nature Medicine 22, 12 doi: 10.1038/nm.4210

急性骨髄性白血病(AML)の患者は、当初は大部分が化学療法に反応するが、その後多くで再発が起こる。化学療法後にAMLが持続する機構の基盤は解明されていない。AML患者や白血病性形質転換の見られないクローン性造血を有する患者では、DNAメチルトランスフェラーゼ3A(DNMT3A)に頻発する体細胞変異が観察されていて、変異の頻度が最も高いのは882番目のアルギニン(DNMT3AR882)である。DNMT3AR882 AMLの患者は、標準投与量のダウノルビシンを用いる導入化学療法を受けた場合の転帰が不良であることから、DNMT3AR882細胞が持続して、再発を引き起こすと考えられる。我々は、Dnmt3aの変異が、Flt3(FMS-like tyrosine kinase 3)遺伝子の変異(Flt3ITD)やヌクレオホスミン遺伝子の変異(Npm1c)と協調して造血幹細胞の増殖を引き起こしてin vivoでAMLを誘導すること、また、アントラサイクリン化学療法への抵抗性を促進することを見いだした。AML患者では、DNMT3AR882変異の存在から微少残存病変が予測され、これはAML化学療法抵抗性におけるその役割を明確に示している。DNMT3AR882細胞ではアントラサイクリン治療に応答したヌクレオソーム除去やクロマチンリモデリングが損なわれていて、これはアントラサイクリン曝露後にヒストンシャペロンSPT-16の動員が減弱したためである。この異常によって、DNAのねじれによるストレスが感知・修復されなくなり、その結果変異誘発が増加した。我々の知見は、AMLの化学療法抵抗性促進にDNMT3AR882変異が重要な役割を果たすことを明らかにし、また細胞毒性化学療法に応答したクロマチンリモデリングの重要性をはっきり示している。

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