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糖尿病:ヒト1型糖尿病ドナーに由来する膵島浸潤T細胞の自己抗原特異性の解析

Nature Medicine 22, 12 doi: 10.1038/nm.4203

1型糖尿病(T1D)治療の重要な目標は、T細胞の自己抗原特異的寛容の誘導である。これが達成できれば、T1D発症のリスク保有者だけでなく、膵島の置換もしくは再生療法を受けた既発症者でも自己免疫を抑制することができる。ヒト自己反応性T細胞応答の機能の研究は大部分が末梢血由来T細胞に限られており、末梢のT細胞レパートリーが、膵島に浸潤しているT細胞のレパートリーをどの程度反映しているのかは不明である。膵島のT細胞レパートリーについての我々の知識は、膵島炎の組織学的および免疫組織学的解析、ヒト白血球抗原(HLA)-A2+ドナーの膵島内での自己反応性CD8+ T細胞のin situ同定、および1人のT1Dドナーの膵島から増殖させたDQ8およびDQ2-DQ8ヘテロ二量体拘束性プロインスリン反応性CD4+ T細胞の単離と同定から得られたものである。今回我々は、9人のT1Dドナーに由来する合計236のCD4+およびCD8+ T細胞系列とクローンのうちの50個の解析について報告する。これらの細胞系列は個別に手で選別した膵島から増殖させたものであり、クローンは手で選別した膵島を分散させたものから直接選び出した。これらのT細胞系列もしくはクローンのうちの17個は、多様な同定済み未処理膵島抗原および翻訳後修飾を受けたペプチドに対して反応した。これらの結果は、T1D患者には膵島浸潤性で膵島自己抗原反応性の多様なT細胞が存在することを実証するもので、これらのデータは有効な免疫療法の設計に関わってくる。

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