Technical Report

がん:担腫瘍マウスで骨髄系由来サプレッサー細胞を激減させる新しい治療用ペプチドの作製

Nature Medicine 20, 6 doi: 10.1038/nm.3560

免疫回避は、がんのプログレッションの新しく見つかった大きな特徴の1つである。しかし、腫瘍微小環境内で骨髄系由来サプレッサー細胞(MDSC)が果たす役割を解明するための機能研究は、使用可能な特異的細胞表面マーカーがないために制限されている。我々は、MDSCに特異的に結合する候補ペプチドを見つけるために、競合的ペプチドファージディスプレイプラットフォームを改変し、ペプチド–Fc融合タンパク質(ペプチボディー)を作製した。複数種の腫瘍のモデルで、ペプチボディーの静脈注射によって、腫瘍を持つマウスでは血液、脾臓および腫瘍内のMDSCが完全に枯渇したが、樹状細胞などの炎症促進性の免疫細胞種には影響がなかった。対照用のGr-1特異的抗体を注射した場合は、主に顆粒球性のMDSCが大幅に減少したが、ペプチボディーの場合には、顆粒球性と単球性の両方のMDSCサブセットが枯渇した。ペプチボディー投与は、in vivoでの腫瘍増殖の抑制を伴っており、その程度はGr-1特異的抗体で見られる抑制を上回っていた。MDSC膜タンパク質の免疫沈降によって、S100ファミリータンパク質が標的候補であることが突き止められた。今回の戦略は、ヒトMDSCなどの希少な細胞サブタイプの表面に存在する診断用および治療用標的分子を新たに見つけ出すのに役立つと考えられる。

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