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骨疾患:トランスフォーミング増殖因子βシグナル伝達の過剰は骨形成不全症に共通する発症機序である

Nature Medicine 20, 6 doi: 10.1038/nm.3544

骨形成不全症(OI)は結合組織の遺伝性疾患で、優性および劣性の両方の遺伝形式をとり、骨脆弱性、骨折に加えて骨外性の症状も特徴とする。I型コラーゲンの構造的変異(優性遺伝性OIの場合)もしくはその翻訳後修飾装置の変異(劣性遺伝性OIの場合)が、骨の質および量の異常を引き起こす仕組みはほとんど解明されていない。そして、優性遺伝型OIと劣性遺伝型OIで臨床病型が重複していることは、分子レベルの発症機序が共通であることを示唆している。本論文では、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)シグナル伝達の過剰が、劣性遺伝性(Crtap−/−)と優性遺伝性(Col1a2tm1.1Mcbr)のOIマウスモデルの両方での発症機序であることを示す。これらのマウスモデルの骨格では、TGF-β標的遺伝子の発現上昇、全Smad2タンパク質のうちでリン酸化型が占める割合の増大、in vivoでのSmad2レポーター活性の亢進が見られる。さらに、Crtap−/−マウスのI型コラーゲンでは、ロイシンリッチ小型プロテオグリカンであるデコリンに対する結合低下が認められた。デコリンは、TGF-β活性の調節因子であることが知られている。中和抗体1D11を用いて抗TGF-β処理を行うと、両方のタイプのOIマウスモデルで骨の表現型が修正され、Crtap−/−マウスでは肺形成異常が改善される。従って、マトリックス-細胞間のTGF-βシグナル伝達の変化は、OIの病理発生の主要な機序の1つであり、これはOI治療の有望な治療標的となる可能性がある。

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