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がん: Notch経路は膀胱がんで腫瘍抑制因子という新たな役割を果たしている

Nature Medicine 20, 10 doi: 10.1038/nm.3678

Notchシグナル伝達経路は、増殖、分化、アポトーシスの過程に、状況によって正または負に作用することで、隣接した細胞間の相互作用を介して細胞運命を制御する。この経路はヒトのがんで、腫瘍形成因子あるいは腫瘍抑制因子のどちらにもなると考えられてきた。本研究では、調べられたヒト膀胱がんの40%以上で見られた、Notch経路構成因子に生じた新たな不活性型変異について報告する。膀胱がんは、米国人男性で4番目に多い、非常によく見られる悪性腫瘍である。ドライバー変異はこれまでに、繊維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)と、それよりは少ないがRASタンパク質で見つかっている。我々は、膀胱がん細胞でのNotch活性化がin vitroin vivoの両方で増殖を抑制し、これが二重特異性を持つホスファターゼ(DUSP)群の直接的な上方制御と、それによるERK1とERK2(ERK1/2)のリン酸化レベルの低下を介して起こることを示す。マウスモデルでは、Notchシグナル伝達を遺伝学的に不活性化すると、Erk1/2のリン酸化が起こり、その結果として尿路で腫瘍が形成された。従って、我々の結果はNotch活性の喪失が尿路上皮がんのドライバー事象であることを明らかにしている。

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