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白血病:BACH2はプレB細胞受容体チェックポイントにおける負の選択とp53依存的腫瘍抑制を仲介する

Nature Medicine 19, 8 doi: 10.1038/nm.3247

B細胞特異的転写因子BACH2は、B細胞の親和性成熟に必要とされる。本研究では、Bach2を介したp53の活性化が、免疫グロブリンVH-DJH遺伝子セグメントの生産的再構成に失敗したプレB細胞の厳密な除去に必要であることを示す。VH-DJH遺伝子の生産的再編成に続き、プレB細胞受容体シグナル伝達は、BCL6(B cell lymphoma 6)を介してp53を抑制することで、BACH2による負の選択を終了させる。前駆B細胞性急性リンパ芽球性白血病の患者では、このBACH2を介したチェックポイント制御が、その上流の活性化因子であるPAX5の欠失やまれな体細胞変異、低下によって損なわれている。このような患者では、BACH2の発現が低いことが予後不良についての強い独立した予測要因となる。今回の研究で我々は、Bach2+/+プレB細胞が、Bach2依存的なp53発現上昇を介して、Mycによる白血病性形質転換に耐性を示し、移植を受けたマウスで致命的な白血病が発症しないことを示す。我々が行ったクロマチン免疫沈降シーケンシング(ChIP-seq)と遺伝子発現解析から、BACH2はプロモーター結合についてBCL6と競合し、p53や他の細胞周期チェックポイント制御遺伝子のBCL6を介した抑制を無効にすることが明らかになった。以上の結果は、BACH2がプレB細胞受容体チェックポイントでの負の選択における非常に重要なメディエーターであり、白血病誘発に対する防御因子となっていることを示している。

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