Review

オートファジー:神経変性疾患におけるオートファジーの役割

Nature Medicine 19, 8 doi: 10.1038/nm.3232

オートファジーはリソソームによる分解過程の1つで、不要となった細胞構成成分を再生利用し、また損傷を受けた細胞小器官やタンパク質凝集体を除去するのに使われる。オートファジーのこのような基質は、エンドソームやオートファゴソームに取り込まれての輸送など、複数の機構を介してリソソームへと到達する。分解が完了するまでには、オートファジー経路やエンドサイトーシス経路の各区画間での動的な相互作用が関わっている。神経細胞は、このような相互作用の崩壊によってとりわけ影響を受けやすく、特に老化が進んだ脳ではそれが著しい。そのため、オートファジーを調節する遺伝子に生じた変異が、神経変性疾患を広い年齢範囲にわたって例外的に高い頻度で引き起こすことは意外ではない。アルツハイマー病、筋委縮性側索硬化症、家族性パーキンソン病のような遅発型の疾患では、オートファジー経路のさまざまな段階で異常が生じており、発症機序と治療に多様な影響を及ぼしている。本総説では、神経変性疾患におけるオートファジーの役割について概観し、考察されることが少ないリソソームのクリアランス機構と、それが疾病に及ぼす重要な影響に特に注目していく。また、オートファジーの特定段階の調整を目的とする多様な治療戦略や、そのための薬剤開発の現状についても検討を行う。

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