Technical Report

診断法:嚢胞性繊維症患者の初代培養腸管オルガノイドを用いる機能的CFTR検査法

Nature Medicine 19, 7 doi: 10.1038/nm.3201

我々は最近、腸管由来の上皮オルガノイド(培養で形成される三次元構造体)の長期成長を可能にして、in vivo腸管上皮組織構造の基本的特徴を再現する条件を確立した。本研究では、この技術を適用して、嚢胞性繊維症患者由来の初代培養腸管オルガノイドについて調べた。この疾患は、嚢胞性繊維症膜コンダクタンス調節因子をコードする遺伝子CFTRの変異が原因で起こる。フォルスコリンは、健常者対照群もしくは野生型マウスに由来するオルガノイドに急速な腫脹を引き起こすが、この影響は、嚢胞性繊維症患者やCftr F508del変異を持つマウス由来のオルガノイドでは著しく弱まり、Cftr欠損オルガノイドでは影響がみられない。このパターンは、CFTR特異的な阻害物質によって再現された。in vitroで成長したヒト対照群オルガノイドおよび嚢胞性繊維症オルガノイドのフォルスコリンによる腫脹は、切除したばかりのex vivo直腸生検でフォルスコリンによって誘導されるアニオン電流と定量的に相関していた。CFTR F508del変異体タンパク質の機能は低温培養によって、またCFTR機能回復物質によって回復した。この比較的単純で着実な検査法は、嚢胞性繊維症の診断や機能研究、創薬、個別化医療に役立つと考えられる。

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