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毛髪再生:皮膚γδT細胞からのFgf9は創傷後の毛包新生を誘導する

Nature Medicine 19, 7 doi: 10.1038/nm.3181

毛包再生の分子機序の解明は、脱毛などの皮膚疾患の治療法の開発につながる。本研究では、当初はγδT細胞から分泌された繊維芽細胞増殖因子9(Fgf9)が、成体マウスの皮膚で創傷後の毛包新生を調整することを示す。Fgf9の発現を低下させると、創傷後に起こるこの誘導性毛包再生が低下する。逆に、Fgf9の過剰発現は、新生する毛包の数を2から3倍に増やした。γδT細胞からのFgf9は、損傷を受けた繊維芽細胞でWnt発現と、それに続くWnt活性化を引き起こすことがわかった。活性化された繊維芽細胞は独特のフィードバック機構を介してFgf9を発現するようになり、皮膚再生の重要な段階に、皮膚損傷部の全体にわたってWnt活性が増幅される。ヒトは常在性皮膚γδT細胞のロバストな集団を欠いており、損傷後の毛髪再生が不可能であることは、おそらくこれによって説明されるだろう。以上の結果は、免疫系と組織再生の間の重要な関連性をはっきり示している。毛包再生におけるFgf9の重要性は、Fgf9がヒトでの治療に使える可能性を示唆している。

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