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腎疾患:マイクロRNA-193a、およびそれによるWT1の下方制御が巣状分節性糸球体硬化症を引き起こす

Nature Medicine 19, 4 doi: 10.1038/nm.3142

巣状分節性糸球体硬化症(FGSG)は、よくみられる重篤な糸球体疾患であり、足細胞の足突起の不安定化を特徴とする。本研究では、マイクロRNAであるmiR-193aの導入遺伝子発現が、マウスで速やかにFSGSを引き起こし、それに伴って足細胞の足突起の広範囲にわたる消失が起こることを報告する。機構としては、miR-193aは、転写因子であって足細胞の分化と恒常性の主要調節因子であるウィルムス腫瘍タンパク質(WT1)の発現を阻害する。WT1の発現レベルの低下は、その標的遺伝子であるPODXL(ポドカリキシン)とNPHS1(ネフリン)に加えて、足細胞の構造に必須の他の複数の遺伝子も下方制御することで、足細胞安定化系全体の壊滅的崩壊を引き起こす。FSGS患者から摘出した糸球体では、正常な腎臓や他の糸球体疾患患者の腎臓に比べるとmiR-193aの発現が上昇していた。したがって、miR-193aの上方制御はFSGSに関する新しい発症機序であり、治療標的候補となる。

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