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造血:CD169+ マクロファージは定常状態やストレス条件下で赤血球産生を促進するニッチとなる

Nature Medicine 19, 4 doi: 10.1038/nm.3057

骨髄の赤芽球島では発生中の赤芽球が中央のマクロファージを取り囲んでいることが数十年前に報告され、このことからマクロファージは赤血球産生に何らかの役割を持つと考えられてきた。だが、恒常状態、あるいは疾患状態でマクロファージがin vivoで赤血球産生に果たす役割はまだ解明されていない。我々は、CD169+ マクロファージを特異的に消失させると、骨髄中の赤芽球数が大幅に減少するが、恒常状態では顕著な貧血には至らないことを見いだした。これはおそらく、赤血球クリアランスが同時に変化することが原因である。しかし、CD169+ マクロファージの消失によって、溶血性貧血や急性の失血、骨髄機能除去の際の赤血球数の回復は著しく障害された。さらに、マクロファージの消失は、JAK2V617Fによる真性赤血球増加症のマウスモデルで赤血球区画を正常化した。このことは真性赤血球増加症での赤血球産生が、骨髄や脾臓の微小環境で依然としてマクロファージの制御下にあることを示唆している。以上の結果は、CD169+ マクロファージが後期の赤血球成熟を促すことを示しており、マクロファージ区画の調節が赤血球産生疾患に対する新たな治療法になる可能性を示唆している。

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