Review

骨代謝:骨の恒常性と疾患におけるWNTシグナル伝達:ヒトでの変異から治療まで

Nature Medicine 19, 2 doi: 10.1038/nm.3074

骨粗鬆症の老人や骨形成不全の子どもなどでみられるように、骨量や骨強度の低下は脆弱性骨折の原因となる。10年前、ヒトで骨に影響を及ぼすまれな遺伝子変異が複数突き止められた。これらには、負の影響を与える変異(骨粗鬆症・偽性神経膠腫症候群)と、正の影響を与える変異(高骨質量表現型や硬結性骨化症、ファン・ブッヘム病)があり、そのいずれもが古典的WNTシグナル装置の構成因子に起きていることが明らかになった。マウスの遺伝学的研究から、骨の恒常性調節における古典的Wntシグナル伝達の重要性が確証され、Wnt経路の活性化は骨量と骨強度の増強に、その阻害は低下につながることが示された。それ以後、骨に対するWNTシグナルの重要性は、一般人集団を対象とする多数の全ゲノム関連研究でも明確に示されてきている。現在この経路は、骨折のリスクのある非常に多くの患者で、骨強度回復を目的とした治療介入の標的となっている。本総説では、WNTシグナル伝達が骨恒常性を調節する機構に関する現在の理解について述べる。

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