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代謝性疾患:好中球は分泌型エラスターゼを介して高脂肪食を与えられているマウスにインスリン抵抗性をもたらす

Nature Medicine 18, 9 doi: 10.1038/nm.2885

脂肪組織および肝臓での慢性的で軽度の炎症は、全身的なインスリン抵抗性を引き起こす主な原因であり、肥満および2型糖尿病に見られる低いインスリン感受性の重要な要因である。マクロファージ、T細胞、B細胞、マスト細胞および好酸球などの免疫細胞はいずれも、この過程にかかわっていると考えられてきた。好中球は普通、炎症に最初に反応する免疫細胞であり、マクロファージの動員を促し、抗原提示細胞との相互作用によって慢性の炎症状態を悪化させる。好中球は数種類のプロテアーゼを分泌し、その1つである好中球エラスターゼはいくつかの疾患モデルで炎症反応を促進することがある。今回我々は、肝細胞に好中球エラスターゼを投与すると、細胞でインスリン抵抗性が生じ、高脂肪食誘導性肥満(DIO)マウスで好中球エラスターゼを欠失させると、脂肪組織の好中球およびマクロファージの減少に関連して組織炎症が軽減されることを示す。このような変化は、耐糖能およびインスリン感受性の改善を伴っている。まとめるとこれらの結果は、炎症が誘導する代謝性疾患にかかわる免疫細胞の広範なレパートリーに、好中球を加えうることを明らかにしている。

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