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免疫: Fcのガラクトシル化およびFcγRIIBとデクチン1の会合を介して誘導されるIgG1の抗炎症活性

Nature Medicine 18, 9 doi: 10.1038/nm.2862

補体は、進化的に古い危険感知システムで、宿主防御や免疫監視、恒常性維持にかかわっている。C5aとそのGタンパク質共役受容体は、補体の炎症促進的性質の多くを仲介している。C5aはアレルギー性喘息や自己免疫性関節炎、敗血症、がんに重要な役割を担っているが、その調節については十分知られていない。本論文では、IgG1の免疫複合体(IC)、抑制性IgG受容体FcγRIIB、およびC型レクチン様受容体デクチン1が、C5a受容体(C5aR)の機能を抑制することを示す。IgG1 ICはFcγRIIBのデクチン1との会合を促進し、その結果、FcγRIIB下流のSHIP(Src homology 2 domain-containing inositol phosphatase)とデクチン1下流のSyk(spleen tyrosine kinase)がリン酸化される。この経路が、C5aRを介するERK1/2リン酸化やin vitroにおけるC5aのエフェクター機能を遮断し、また腹膜炎や実験的な後天性表皮水疱症モデルにおける皮膚水疱などのin vivoでのC5a依存的な炎症反応を阻害する。特に、IgG N-グリカンの高度なガラクトシル化はFcγRIIBとデクチン1の会合を促進させることから、このIgG ICの阻害活性に重要である。したがって、ガラクトシル化されたIgG1とFcγRIIBは、FcγRを活性化する作用の他に、抗炎症的な働きもしている。

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